2025年5月28日、日本の国会で「AI関連技術の研究開発・活用推進法」が可決、成立したそうです。
AI技術の開発・活用を推進、悪用事業者は国に調査権 初の法整備
利活用の推進や国際競争力の向上を盛り込んだ。AIを使った人権侵害などのリスクを抑制するため、国が調査し事業者に是正を促すともうたった。
(日本経済新聞 2025年5月28日)
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUA270UW0X20C25A5000000/
具体的にこうしましょう、こうすると法律違反ですといった指導的な法律ではなく、AI技術はこれから重要になるので日本でも開発をやりましょう、といった掛け声的な法案のようです。
とはいえ、日本は民間ベースの投資額で中国、アメリカに大きく水をあけられています。
日本の投資額= 7億ドル(1050億円)
中国の々 = 78億ドル
アメリカの々=672億ドル
※2023年の各国の民間投資額(スタンフォード大学調べ)
日本のAI投資額の10倍が中国で、100倍がアメリカとすると、もっとわかりやすくなります。
金額ベースにはなりますが、日本のAIへの熱量は中国の10分の1、アメリカの100分の1。
ソフトバンク率いる孫正義氏が今後4年間でアメリカに1000億ドル(15兆円)の投資をすると表明しています。日本でうまれた冨ですらアメリカへ行ってしまいます。
この状態があと何年か続くと、もう蟻と象、月と太陽くらいの差がつくことは目に見えています。
だから、何もしていない訳でなく「国会でAI推進法を作ってみました」ということでしょうか。
AIの高度な対話能力、フェイク画像の生成能力はいまや社会的脅威になっています。投資詐欺、ロマンス詐欺、トクリュウ詐欺の専用ツールと言ってもいいくらいです。
この法案ではそうした悪質な行為の判断は各省庁が行うとしています。また著しい人権侵害があった場合、事業者を公表するそうですが罰則はありません。促進が主題のため罰則は無きに等し。
今回のコラムを書いてみて、国力の差をしみじみと感じました。(水田享介)