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[第71回]-漫画『死後出版』で知る著者と出版社の熱い関係

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映画やテレビドラマには、マンガを原作とした作品が多いことはよく知られています。

マンガである程度の読者数を掴んでいることで、視聴率や観客動員数の読みもできるという安心感もあるようです。

筆者は最近、作家の内面や出版の内部事情を巧みに描きだしたすぐれたマンガ作品に出会いました。

『死後出版』・第1巻~第3巻(田中現兎)/少年画報社・「ヤングキングbull 」連載中
著者の死後にのみ作品を出す奇抜な出版社〝死後出版〟。そこに勤める本ヲタクの編集者・栞田のもとにやってくるのは、作家たちの様々な想いがこもった作品ばかり。作家が歩んできた人生が筆を動かす力になる!本にまつわる切なくもあたたかいストーリー。
(少年画報社オフィシャルサイト・コミックス)

このマンガは、著者が生前に執筆した作品を預かり、その人の死後に出版するという変わったルールの出版社で、ストーリーはそこに勤務する女性編集者を中心にオムニバス形式で進みます。

作家が密かに持ち込んだ原稿は、出版すればヒットする可能性が高い。しかし、作家自身には「生きている間の出版ははばかられる」理由がある。

その理由とは…。

叶わぬ恋心は誰にも知られず終わるはずが…(第一章 辿りつく詩集)、ゴーストライターとの決別を明かす流行作家…(第六章 ゴーストは女神の夢を見る①)、重い病を抱えた少女のエッセイ…(第九章 「ないしょのエッセイ」)。どの著者も近づいてくる死に向き合い、作品の残し方についてさまざまに悩み苦しんだ末に、死後出版という方法にたどり着きます。そんな彼らに寄り添い、親身になってサポートする編集者。

しかし、この死後出版という出版社、流行作家の遺作の出版はどんなに売れるとわかっていてもお断り。
なぜなら、その作家には死後に出版しなければならない理由がなかったから(第零章 イエロースカイ)。

このマンガは読み進むうちに、本を出版する楽しさがじんわりと伝わってきます。

これから自分史を書き始める方、個人出版をお考えの方、死後出版とは言わずに、生きているうちにあなたの作品を書き上げて本にしましょう。(水田享介)

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