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[第75回]-SNSの終焉とChatGPT終了の始まり

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つい最近のこと、Facebook創設者として知られるザッカーバーグ氏が興味深い発言をした。

マーク・ザッカーバーグが「ソーシャルメディアは終わった」と発言
(Gigazine 2025年4月29日)

これは2024年11月に再開した米国の裁判での発言。ザ(ザッカーバーグ、以下略)氏が言うに、
(スタートしたころのSNSは)
「友人たちが投稿したコンテンツを見て楽しむデジタル上の集いの場など、人々をオンラインでつなぐウェブサイトを指していました。」

しかし、ここ10年間で
「著名人によるプロモーション動画や、時事問題に声高に意見を述べる評論家たちの投稿、ポップカルチャーの切り抜き、さらにはAIによって大量生産された質の低いコンテンツなどが流れ込む場所」

になったと嘆いたそうだ。

ザ氏のこれら一連の発言は、確かにSNSの歴史を語ってはいるが、なぜそうなったのかについてひと言も触れてはいない。いや、触れたがらない。

SNSを「広大なデジタルの干し草の山」に変えたのは、他ならぬザ氏自身に他ならないからだろう。

彼は身元の確かな(ある意味、善良で争いを好まない)ハーバード大学の学生会員が増えていくことに目を付け、従来の新聞・テレビというマスメディアで不可能だった「ターゲット広告」を仕掛けたひとりだった。

Facebook、今のメタ社は莫大な広告収入を得ることと引き替えに、オレオレ詐欺、ロマンス詐欺、投資詐欺、特殊詐欺、闇バイトとそれに続く強盗強殺事件(匿名・流動型犯罪グループ(トクリュウ))などデジタル技術が創出するあらゆる犯罪の手口を全世界にばらまいた。

SNSなどでの詐欺被害が世界中で深刻化 各国捜査機関が対策議論
SNSなどを通じて投資を持ちかけたり、恋愛感情を抱かせたりする詐欺の被害は、日本だけではなく欧米など世界中で深刻化しています
(NHK NEWSWEB 2024年9月11日)

ザッカーバーグ氏は最初は清流だったSNSの小川が、氾濫を繰り返す危険な大河に変貌したと言いたかったのだろう。しかしその張本人の発言としては無責任きわまりなく、まったくいただけない。

このニュースを横目にChatGPT開発元のオープンAIは新たな機能を発表をした。

チャットGPTに「買い物」機能追加、検索強化でグーグルと競合か
チャットGPTの買い物機能では、探している商品の条件などを入力すると、複数の候補について画像や価格、レビューなどが紹介され、購入先へのリンクが表示・・・。
(朝日新聞 2025年4月29日)

ChatGPTはいつまで正直な情報で応えてくれるのだろうか。オープンAI社が莫大な広告収入を得始めたら、ChatGPTはいつから詐欺混じりの回答を返し始めるのだろうか。

かしこすぎるAIがSNSがたどりついた世界を追いかけないと、誰が断言できるだろうか。(水田享介)

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