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第9回 中小企業こそ「企業出版」に取り組むべき理由

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——本をつくる過程が、会社を整える

うちの会社の強みって何ですか、と聞かれて即答できる社員が何人いるか、試したことありますか。

実際に一人ずつ聞いてみてください。営業と技術と総務で、たぶん全員違うことを言います。誰も嘘はついていない。でも、言葉がバラバラ。これ、じわじわ効いてくる問題です。採用でも、営業でも、「この会社に頼む理由」を相手に伝えようとするとき、社員の口から出てくる言葉が会社の顔になる。その言葉が人によって違ったら、会社の輪郭はぼやけたままです。

企業出版やブランディング出版というと、大企業や著名な経営者がやるものだと思われがちです。でも実際には、言葉が整っていない中小企業こそ、取り組む意味が大きい。その理由を、今回は正直に書きます。


「発信するツール」を変えても、言葉は育たない

この問題を解決しようとするとき、多くの中小企業の経営者はWebサイトをリニューアルしたり、パンフレットを作り直したりします。でもたいてい、同じ結果になる。「品質」「誠実」「お客様第一」。どこにでもある言葉が並んで、結局また棚の上に乗っかるだけのものができあがる。

なぜかというと、「発信するツール」を変えても、「発信する言葉」が育っていないからです。ツールはあくまで器です。中身が変わらなければ、器をどれだけ替えても同じことの繰り返しになる。

企業出版・ブランディング出版という取り組みは、ここに直接手を入れます。

原稿を書こうとしたら、「技術力が強みです」なんて一行では通らない。「他社と具体的に何が違うんですか」「そのこだわり、いつ頃から始まったんですか」「一番しんどかったのはどんな場面ですか」——こういう問いに、ちゃんと答えなきゃいけない。きれいごとは原稿の上では一行も書けない。追い詰められて初めて出てくる言葉が、実はその会社の本当の強みだったりします。


普通の会議では絶対に出てこない会話が、起きる

その作業を、経営者と現場が一緒にやる。これが企業出版プロジェクトの、もう一つの核心です。

社長が何年も温めてきたビジョンが、現場には全然届いていなかったことに気づく。営業が最前線で感じている顧客の本音を、開発チームが初めてちゃんと聞く。現場が「当たり前」だと思ってやっていたことが、実は他社には絶対できない強みだったと経営陣が知る。

売上の話、コストの話、納期の話——普通の会議はそれで終わります。でも「一冊の本を完成させる」という目標の前では、普段は誰も口にしないことが自然と出てくる。ぶつかることもある。でもそのぶつかり合いを経て、バラバラだった言葉が少しずつ一本の線に揃っていく。

チームビルディングの研修を外注したり、合宿を企画したりする前に、一度考えてみてほしいのです。本づくりという共通の目標ほど、組織の深い対話を引き出すものが他にあるだろうかと。本が完成したとき、チームの中には不思議な連帯感が生まれています。同じ山を、一緒に登ったからです。


だからこそ、「本」でなければならない

企業出版に取り組む理由として、「営業ツールになる」「採用に使える」とよく言われます。それは本当のことです。でも、もっと根本的な価値があります。

本が完成したとき、手元に残るのは「自社の言葉」が一冊にまとまった、れっきとした資産です。

Webサイトは更新され、SNSの投稿は流れていく。でも本は残ります。10年後も、棚に立っている。取引先に渡せる、採用候補者に手渡せる、創業の想いを社員に伝えられる——「会社の言葉」が物理的な形を持つことの強さは、デジタルには代替できません。

しかも、その一冊は過程で鍛え上げられた言葉でできている。きれいごとを削ぎ落として、現場の声を拾い上げて、議論を重ねてようやく絞り出した言葉が、そこに詰まっている。だから薄っぺらくならない。読んだ人に、ちゃんと届く。

本を作ろうと思った理由が営業ツールでも、採用強化でも、社内の結束でも、何でもいい。どこから入っても、「自分たちの言葉を持つ会社になる」というゴールに、企業出版は連れて行ってくれます。

ではなぜ、WebでもSNSでも動画でもなく「本」でなければならないのか。次回はそこに正面から答えます。

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