本づくりの中で、「文章」と同じくらい大切なもの――それがデザインです。
カバーの色や文字の並び、本文のフォントや余白の取り方ひとつで、本の印象は大きく変わります。
今回は、出版の中盤に訪れる「デザイン・装丁」の工程について、わかりやすく解説します。
デザインとは、「本の顔」をつくる仕事
本のカバー(表紙)は、読者にとって最初に出会う“顔”です。書店やオンラインストアでは、まず見た目で目に留まるかどうかが重要になります。
タイトルの配置、文字の書体、背景の色や画像、帯の有無――これらすべてを組み合わせて、1冊の本らしさを表現していきます。
デザインは、内容を読まなくても「この本、ちょっと気になるかも」と思ってもらうための、もうひとつの“文章”とも言えるのです。
カバーの希望はどう伝えればいい?
「デザインのことはよくわからない…」という方も多いですが、心配は無用です。
「すっきりした雰囲気がいい」「ビジネス書っぽく」「エッセイ風で柔らかく」など、ふんわりとした印象でも構いません。ご自身の好みの本や、イメージに近い作品があれば、写真やリンクで見せていただくのも効果的です。
当社では、プロのデザイナーがヒアリングをもとに複数案をご提案し、その中から選んでいただくスタイルが基本です。
本文レイアウトも“読みやすさ”を左右する
表紙だけでなく、中身のページレイアウトも重要です。行間の広さ、フォントの大きさ、見出しの付け方、イラストや図表の配置……それらの工夫によって、読みやすさや印象が大きく変わります。
たとえば:
●エッセイ風なら、余白多めでゆったりと
●ビジネス書なら、情報整理された構成で
●インタビュー形式なら、話者の区別を明確に
内容に合わせて、最適な読みやすさをデザインする。それが、本文レイアウトの役割です。
「こうしたい」は、遠慮なく伝えてOK
装丁は「デザイナーに任せきり」ではなく、著者と一緒につくるものです。
●自分で撮った写真を使いたい
●好きな色がある
●フォントや紙質にこだわりたい
など、ご希望があれば遠慮なくお伝えください。もちろん、「よくわからないので任せたい」でも大丈夫。プロが丁寧にご提案いたします。
まとめ|デザインは“読者と出会う瞬間”をつくる力
カバーと本文レイアウトは、本の「印象」を左右する大切な要素です。文章の中身がいかに素晴らしくても、見た目が読者に届かなければ、もったいないですよね。
あなたの本が、より魅力的に、より読みやすく、多くの人の手に取ってもらえるように――デザインの力を、ぜひ活かしてください。
次回予告
第5回では、「校正」と「印刷」についてご紹介します。完成直前の大切な工程である“最終チェック”と、実際に本が形になる“印刷”の流れを丁寧に解説します。