先日急に寒くなったため、夏物と冬物の入れ替えをするためにトランクルームへ行った時のこと。
普段人気のないフロアなのですが、なんと私が借りている場所のおとなりさんが荷物の入れ替えを
されていました。それだけでも私個人的には驚くことなのですが、普段聞きなれない言葉でお話をされるご夫婦がいらっしゃいました。話ことばを聞いていると、どうやらフランス語のように聞こえました。
そうなるとても話しかけにくく、さらに通路いっぱいに荷物を出されていたため、私のトランクルームに行けずに戸惑っておりました。言葉が通じなかったら何と言ってそこを通してもらったらよいのか・・・
その時突然ご主人がこちらを振り向いて「すみません!」と日本語を話されて、驚きました・・・とても流ちょうな日本語で丁寧にお詫びをされたので、逆にこちらが荷物の整理中にそこを通らなければいけないことが申し訳なく思うくらいでした。
素早く荷物を入れて、またお詫びをしながら通路を通り、エレベータを待っていたときのこと。「これいりますか?」と声をかけられたと同時に1冊の本を差し出されました。それは半藤一利さんの「昭和と日本人 失敗の本質」という難しい本でした・・・・
どうしてこの本をフランス人のご主人が買われたのか・・・突然のことでわかりませんでしたが、「難しくて読めなかった」という感想をお聞きしました。
ありがたくいただいて帰ってきたのですが、どうしてあの方はそもそもこの本を買われたのか・・・、ひょっとして頂き物か、それとも日本の近代史に興味がおありか・・・いろいろ考えてもわからないことですが、とても良い方がお隣さんだったことは本当に良かったです!
本をいただく機会があまりない私にとってとても新鮮で思い出に残る出会いになりました。
(奥本 達哉)