昔、本の配送は主に鉄道にて行われていました。
取次に納品された後、本は配送先の地方ごとにより分けられ、ホームで出発を待ちます。ホームは番線ごとに行き先が違います。この、番線ホーム由来の言葉がそのまま今に生きています。 書店「もしもし。アスカエフ書店です。『ひとり力のある暮らしかた』を10冊お願いします。」 出版社「はい、明後日8月19日に取次搬入です。POPはいかがですか。」 書店「あ、1枚お願いします。番線を申し上げます。トーハン05T00 書店コード12345です。」 出版社「承知しました。ありがとうございました。よろしくお願いいたします。」 こんなやり取りが日々繰り広げられます。 書店さんは番線印を押さなければ発注できないわけではありません。電話で発注する際は口頭で通じますし、なじみの書店さんの場合には出版社が既に知っている場合もあります。書店営業でも「その本、入れといて。10冊ね。」と言われ、「どうもです。」という口頭のやり取りで進む場合も多いです。ただ、出版営業は受注できれば終わりじゃないのです。打ち合わせ通りに商品が入り、あるべき場所に本が並べられているか。ここまで確認してはじめて営業なのです。だから基本は口頭では済まさずに、注文書に番線をきちんともらって「この本を打ち合わせして10冊発注(受注)した」という記憶を残すのです。 ベテラン書店員や営業マンほど、発注履歴をしっかり記録しています。 たかが番線、されど番線なのです。
( *´艸`) 出版に興味のある方向け