心に残る本、何度も読み返したくなる記事。 そんな魅力的な作品の裏には、編集者たちの知恵と工夫が隠れています。
実は、この「編集者思考」。 本づくりだけでなく、日常生活や仕事でも役立つ便利なスキルです。その思考法と編集テクニックをご紹介します。
冷静と情熱のあいだを生きる編集者
編集者が大切にしているずばり、 「著者の熱意に共感しつつ、読者の立場に立って冷静に判断すること」。
この「熱くなりすぎず、冷めすぎず」という姿勢は、 日常のさまざまな場面で活かせます。
重要な決定をしなければならないとき、少し時間を置いてみるのも良いでしょう。 感情が落ち着いてから、冷静に状況を見つめ直す。 そうすれば、より良い判断を下せます。
想いを紡ぎ、言葉に命を吹き込む
編集者は、相手の思いを正確に理解し、それを最適な言葉で表現するのに長けています。
具体的には「言い換え」と「具体例の提示」、二つの技で、編集者は言葉を磨き上げます。
「この本は面白い」。 このままでは平凡な感想ですね。でも編集者ならこう表現するかもしれません。 「この本は、読者を驚かせる展開と深い洞察に満ちています」。
同じ内容なのに、ぐっと魅力的になりました。このように、言葉の選び方一つで、伝わる印象が大きく変わるのです。
言い換えと具体例の提示という技は日常会話でも使えます。家族や同僚との会話で、「つまり、こういうことですか?」と言い換えてみる。具体例を挙げて確認する。そうすることで、会話はより鮮やかに、より深くなっていきます。
もし、あなたの中の編集者の目を覚ませば、日常の言葉の使い方が変わるかもしれません。
編集者の「四眼」で文章に命を吹き込む
編集者は作品や文章を磨き上げる4つの視点を持っています。 特別なものではなく、誰もがいつでもどこでも活用することができます。
1.鳥の目:空から全体を見渡す
編集作業では→本の構成を俯瞰し、ストーリーの流れを整える
日常やビジネスでは→ 長期計画の立案、キャリアプランの設計
2.虫の目:細部まで見逃さない
編集作業では→ 誤字脱字のチェック、専門用語の確認
日常やビジネスでは→ 家計簿の管理、プレゼン資料のブラッシュアップ
3.魚の目:時代の潮流を読み取る
編集作業では→ 最新の話題や社会問題を織り込む
日常やビジネスでは→ 新商品アイデアの発案、SNSトレンドの活用
4.コウモリの目:新アイデアを見つける
編集作業では→ 斬新な切り口での本づくり、異分野の融合
日常やビジネスでは→新たなビジネスモデルの提案、日常の課題を創造的に解決
さて、ここまで編集者の頭の中をのぞいてきました。 いかがでしたか?
「なるほど、編集者はこんな風に考えているのか」。と、新たな発見があったのではないでしょうか。毎日をもっとクリエイティブに、もっとわくわくするものに。今日からあなたも「編集者デビュー」!
プロフィール:
牧野妙子(まきの たえこ)
編集とPRの力を武器に、企業の魅力を引き出すクリエイティブディレクター。法政大学卒業後、フリーライターを経て出版社勤務。その後、新聞社で整理記者として5万件以上の記事制作に携わる。国際芸術祭の広報や世界的自動車部品メーカーの広報部門を経て独立。現在は経営者や作家のPR支援、イベント企画運営に従事。「デジタル田園都市国家構想」関連プロジェクトの事務局も務める。一般社団法人Wワーケーション協会理事。40代女性の可能性を引き出すプラットフォーム「COCOKIRO」代表。