先日の新聞記事(読売新聞オンライン 2023年1月24日)で、SNSで話題となった(と思われる)国葬反対ツィートについて、詳細に調査した結果、わずか3.7%の投稿が全体の半分を占めていたことが判明しました。
国葬反対「ツイッターデモ」、3・7%の投稿で全体の半数…4219回のアカウントも
政治や社会問題に関する主張を一斉に投稿する「ツイッターデモ」…参加したアカウントの平均1割弱による投稿が、全投稿の半数を占めていた…。
(読売新聞オンライン 2023年1月24日)
この記事から見えてきたのは、SNSは多くの人の声を反映するツールなどではなく、異常な数の投稿を繰り返すことで、あたかも多くの声であるかのように虚像を作り上げている姿です。
わずかな人数で何時間もスマホに張り付いて投稿したり、ボットというアプリを使って自動投稿したりして、支持の少ない話題をトレンドワード入りさせていたのです。
そこにはSNSのトレンドやブームに惑わされるデジタル社会の負の側面がうかがえます。情報工作で作り上げられた嘘のトレンドワードが、真実の世論のように振る舞い、時には国や地方自治の政策にまで影響を及ぼす。そんな危険性もはらんでいます。
国際政治の世界でも、他国の情報操作の手が日本に入り込んでいます。
「ウイグル族弾圧はデマ」、個人装い「中国寄り」投稿拡散…
日本標的に組織的情報工作か
(読売新聞オンライン 2023年1月24日)
最近では日本中に強盗犯罪を引き起こした一連の事件がありますが、実行犯たちはSNSで操られていました。高額報酬をエサにSNSで人を集め、SNSで犯行計画を伝えて実行させる。しかも、その首謀者は日本の警察の手が届かないフィリピンから指令を出していたのです。
こうした手口は2年前から報道されていたにもかかわらず、全国規模になるまで防ぐ手段がなかったようです。
指示役が「書類審査」と称して犯罪歴尋ね、通信アプリで犯行計画書を共有…「闇バイト」の実態
(読売新聞オンライン 2021年10月11日)
実はSNSの波は書籍にも及んでいて、「ツイッター文学」というジャンルも昨年に登場。ツイッターの140文字という制限で、次々にツリー形式で文章をつなげて書いていく方式です。
ツイッター文学、書籍化続々 若者ひき付け炎上も味方に
「ツイッター文学」と呼ばれるツイッター発の小説が話題を呼んでいる。…2022年9月には麻布競馬場氏の作品が書籍化、23年1月30日にはツイッター文学の先駆者である窓際三等兵氏が外山薫名義で長編小説を出版する。若い世代を中心に新たな読者層が書籍を手にする…。
(日本経済新聞 2023年1月27日)
人気があるからでしょうか、出版社はあいついで書籍化を急いでいます。架空のいいねの数に踊らされていなければいいのですが。(水田享介)