「ビジネスマン」を「ビジネスパーソン」と呼ぶようになったりと、日常で使う言葉の変化がやや速くなってきている今日この頃。文章の世界でも然りです。
今回は、2回構成で「文章を書くときに覚えておくと便利な用語知識」をご紹介します。
特に「明らかにこれはアウトでしょう!」という有名な禁止用語ではなく、無意識に使いがちだけど実は文章の世界だと不適切なんです……という言葉に焦点を当てます。
ベースにするのはこちら。
共同通信社が5~10年に一度のペースで更新・発行している用字用語集『記者ハンドブック』です。
記者と銘打たれていますが、文章を書く人ならば手元に置いて損はない一冊です。丸善など大きな書店さんに行けば、大体扱っています。
では、実際の紹介に入っていきます。
杓子定規に従う必要はありませんが、覚えていると便利ですよ。
★職業に関する表現
・百姓→農民、農家の人(方)など
・床屋→理髪店、理容師など
・町医者→開業医
「○○屋」という表現は、自称する場合や愛称で使う(たとえば絵本で「さかなやさん」「やおやさん」と呼ぶ時など)場合を除いて使わないようにします。
また、歴史的な背景などの事情で直すと不自然になる場合、特に言いかえをしなくてもよい言葉もあります。
・女工(現代語に直すならば「女性従業員」)
・女中(同「お手伝いさん」)
・産婆(同「助産師」)
★民族に関する表現
・酋長→「集落の長」など
・外人→「外国人」
・アイヌ人→「アイヌ民族」
・エスキモー→「イヌイット」
○○族、○○部族などの表記は基本的に避けるようにします。
・ジプシー→「ロマ」「ロマ民族」
「流れ者」といった意味で「ジプシー」という言葉を使うのは適切でないとされています。ただ「ジプシー音楽」や音楽の題名などとしては使用しても問題ありません。
・帰化→「国籍取得」
★子どもに関する表現
・片親→「ひとり親」「母子家庭」「父子家庭」
・父兄会/父母会→「保護者会」
★隠語や俗語に関する表現
・ドヤ→「簡易宿泊所」
・ドサ回り→「地方巡業」
・足切り→「二段階選抜」「門前払い」
関連して「(禁止ではないが)使用を避けたい言葉」には以下のものがあります。
・ガサ入れ
・けつをまくる
・サツ
・ずらかる
・ブタ箱
・ぱくる
2回目ではジェンダーに関わる言葉の落とし穴についてご紹介します。
少しでもご参考になれば幸いです。