前回は書籍を外から見た時の各部名称をご紹介しました。
今回はその続きとなります。
まず、表紙について。
表紙は、書籍の顔とも言える部分ですが、この面は「表1(ひょういち)」とも言います。
「表2」は表紙(表1)の裏側の面になります。この呼び方に従って本の裏面、表紙の反対側にあたる「裏表紙」は「表4」。表4の裏側は「表3」となります。本文よりも厚手の紙になっている表紙の4つの面だけを、1から4まで番号付けをしているわけです。
【書籍の表紙名称】
1.表紙(表1)
2.見返し(表2)
3.表3
4.裏表紙(表4)
この呼び方は筆者がコピーライターとして雑誌広告を制作していた時に使っていたので広告用語のようです。雑誌の場合、表紙以外の面は広告媒体として提供(紙面販売)するため、4つの面に番号を振っておけば間違いがありません。
面によって媒体費(広告費)は大きく異なりますので、こうした言い方になったのでしょう。
書籍の場合、表2は「見返し(効き紙)」といいます。
さて、表紙を開くとすぐに本文が始まることはまれです。特に単行本の場合、表紙をめくった最初のページは文字が印刷されていない色紙(いろがみ)ページがあります
この見返しに貼られた紙が次の色紙ページに続くものを「見返し(遊び)」となります。
さらに次にあるページが「扉」となります。この扉は章立てを明確に区分するため色紙を挟み込むことがあります。
。最初の扉をめくるとようやく本紙となり、本のタイトルや著者名などが記されたページが出てきます。これ以降は、「前書き」、「目次」などと続きます。
写真や図解などのカラーページはこの部分や最終ページなどでひとまとめに集まっていることもあります。
これらの前置きページが終わると本文となります。一般的に本文の紙は表紙よりも薄手になっており、本文用の用紙を「本紙(ほんし)」と呼んでいます。
ページ数の少ないパンフレットや週刊誌、雑誌などは、見開きの真ん中をホチキスなどで綴じた「中綴じ」が一般的です。
【中綴じ】
書籍になると、最低でも数十ページ、数百ページもありますから、ホチキス留めは不可能です。本文の背側を接着剤で綴じた「無線綴じ」になります。
ページ数が増えると本に厚みがでてきます。ページを重ねた本の厚みのことを「束(つか)」と呼んでいます。
「束見本(つかみほん)」という言葉を聞いた方もいるでしょう。
これは印刷に使う本紙を無地の状態でページ数だけまとめたもので、どのような形の本になるのかや実際の本の厚さを事前に手にとって確かめることができます。
こういうところはリアルな書籍だから可能であり、電子書籍では味わえない実物の強みといえます。(水田享介)