製本会社から取次会社に新刊が納品されるといよいよ全国の書店に配本されます。
著者の方にとっては自著が書店店頭に並ぶ記念すべき瞬間でしょう。
そして、出版社営業部の仕事はここからが本番なのです。
【商品が納品されているかデータで確認する】
現在、多くの書店さんではPOSを導入されており、データが書店さんごとにWEBで開示されています(有償サービス)。稼働前にWEBを開き、入荷、売上などの状況を確認します。
【書店さんへ行って展開状況を確認する】
書店さんと事前に念入りに置き場を打ち合わせていても想定通りに本が並んでいるとは限りません。配本後に再度展開場所を現認して約束通りの場所に並んでいるかを確認します。違っていれば担当者さんに陳列場所を変更していただくよう、お願いしたりします。
【まずは配本後1週間の実売に注目】
新刊コーナーに並べられた本はお客様の目にとまり、手に取られる可能性が高いです。新刊として陳列された最初の1週目は増刷がかかるかどうかの重要な週なので営業部は熱い気持ちで注目しています。
店舗、立地、客層、売れのスピード、陳列状況、在庫状況等々の条件を加味して、増刷するか否かを判断します。増刷になった場合は「発売即増刷決定!」と言うことになります。
【POPやパネルを使った拡販】
販促品は各種ありますが、POPかA4パネルが主流です。ともにキャッチフレーズや内容の一部が書かれています。営業部は、まずはPOPを書店さんへ持参して添付いただけるよう、お願いに稼働します。その中でも売れ行きが順調なお店は担当者さんと打ち合わせをしてさらに拡販の協力を要請します。A4パネルをつけ、追加補充を多くいただいて複数個所での展開を要請します。
売り伸ばしのタイミングを逃さないことが重要です。
【拡大補充で売り伸ばす】
1冊売れれば1冊補充するというのは基本中の基本です。これは売り切れてしまわないようにするための補充です。しかし、拡販する商品の場合は売れのペースを見ながら今後どのくらい売れそうかを書店さんと相談しながら、多めの補充提案をしたり、場所を増やしての展開提案などを行います。
そうやって売れが確実に伸びてきたら、さらに展開できるお店を増やしていきます。
【売れている事例をもとに全国の書店さんに提案】
本格的に売れていると判断すると、増刷の準備とともに大きく拡販する体制を作ります。特に大きく売れそうな書店さんでは大部数での展開の交渉をします。
注文書も改めて作ります。その内容は増刷出来日、販売書店ランキング、売れているお店の立地(ビジネス街、郊外など客層を示す)、展開風景の写真(どの場所でどのように並べられているか)などを入れ込んだものにします。
また、同時にPOPのデザインもリニューアルします。
このような行動によって書店さんも「よし、当店でも売りましょう!」となり、大きな売り上げにつながっていきます。
【売れ行きが思わしくないとき】
実は、並べたらすぐに売れるということは稀なのです。
なかなか売れない、手に取るお客様も少ないなどと言うことは日常茶飯事ですが、そこで諦めず対策を取ります。
・展開場所の変更提案
果たして今置かれている場所が相応しいのかどうかを再検討し、本書の読者層に合いそうな売り場に積み替えていただくよう、提案します。
・売れている書店の販売方法を提案
売行きを調査し、売れている書店があれば、その書店さんの陳列方法、ジャンル、客層などを教えていただき、成功事例を他店へ提案することでより売れる場所はどこなのかを追求していきます。
その他状況により様々な対策を検討します。
【広告掲載】
新刊発売時や増刷決定時、また書店さんの売上ランキング等を報知する新聞広告は効果があります。広告掲載が決定すればFAXやメールを全国の書店さんに送信し、日程告知とともに補充提案を行います。広告掲載を伝えることでより良い場所に陳列場所を変えて頂ける書店さんもあります。
【増刷後の販売方法を検討】
発売1か月間で2回以上の増刷となった場合は「ヒット本」という扱いになります。
書店さんだけでなく、取次会社へも売れ行き状況を伝え、拡販協力の打ち合わせをします。また、社内においてもプロジェクトを立ち上げて組織的な販売施策を講じることになります。
以上のように発売直後の売れ方は今後の売行きに大きく影響するので非常に重要な時期なのです。