「自費出版って怪しげだね。」
そんなご意見を聞いたことがあります。どうしてそうなるのでしょうか。出版社の仕事は製作費を頂いて本を作り、書店へ配本する。「怪しげ」の要因は著者の誤解もありますし、出版社の説明不足もあるのかと思います。
今回は自費出版のトラブルをいくつかご紹介したいと思います。
【オプションが積み上げられて高額に】
出版の基本費用は200~300万円が主流です。しかし、ライターの使用、イラストの指定、カラー印刷にするなど別途費用が発生する場合があります。さらに新聞広告費やメルマガサービスなどをオプションにしている場合もあります。これらは申し込むごとに費用が発生します。事前の見積書での確認が必要です。
【著者校正作業がなく本が完成】
原稿を送ったが著者への確認や校正作業もなく、ある日いきなり完成したという連絡があり不安を感じたという話を聞いたことがあります。出版社に原稿を送るとその後は編集者が製作するので全てお任せくださいと言うことだと思います。弊社では著者校正は必要な作業としてお願いしています。例えば本書で紹介される人名や著者しか知りえない内容など編集者には判断できない要素が多数あるはずです。
【カバーデザインのすれ違い】
「美しくない、あるいはいかにも安上がりなデザインにされてしまった」という不満です。
主にふたつのケースがあるようです。
ひとつ目は著者とデザイナーで本書に対するイメージが違う場合。
原稿を提出するとき、タイトルを決定するときなどにデザインのイメージをしっかり伝えていないと起こるトラブルです。簡単で結構ですので「山の風景を入れてほしい」「青が基調で」というふうに伝えてください。そして「事前にいくつかデザイン案を見せていただけますか?」と訊いて見るのがいいと思います。
もうひとつはデザイナーから出されたデザイン案に細かな注文をつけた場合です。
カバーデザインは色、文字の大きさ、全体のバランスなど細部に配慮してプロのデザイナーさんが作っています。著者の思い入れも大事ですが、注文をつけ過ぎるとバランスが崩れ、美しくないものになってしまいます。
言いたいことはきちんと伝えたうえで、ある程度は任せることが必要なように思います。
【ライターさんの不相応、力量不足】
「原稿を見たが出来が悪く、ライター費用を支払う気になれない」というトラブルです。
取材も済み、原稿を完成した段階でもこうなることがあります。
出版したい企画内容に相応しくないライターさんを紹介され、起こるケースがあります。また、ライターさん自身の経験がまだ浅く、著者が希望する原稿を作れないケースもあります。取材に入る前の段階でお互いに十分なマッチングの確認が必要です。
【発売になったのに書店に並んでいない】
「出版したのに書店に並んでいない」と言うトラブルです。
出版社にもいろいろあります。編集部門しかない会社。書店さんへの配本を別の出版社へ委託している会社。自費出版部門と営業部門が連携していない会社などもあります。共通して言えることは営業活動をしていないと言うことです。
出版された本を書店さんでしっかり並べて欲しいとお考えなら、営業力のある出版社で発行されることをお奨めします。営業力のある出版社の本は適切なコーナーに並んでいますし、適切な時期にフェアなどを行っています。自費出版も商業出版も分け隔てなく扱っており、POP添付など販促活動もきちんと行っています。
【お金を振り込んだのに本が完成しない】
これは詐欺かと訝しく思われる方も多いと思います。
最近、本を出したいという人は増えており、編集作業が混みあっていることが主な原因です。おおもとは出版社の連絡不足にあるようです。費用請求まで行っているのですから、出版スケジュールの連絡は必須です。お金を振り込む前にスケジュール表をもらうようにしましょう。ご自身の希望に合わないようであれば別の出版社を模索したほうがいいと思います。