先日、AI業界を揺るがすビックニュースが飛び込んできました。
ChatGPT を開発した企業、オープンAIのCEOを務めるサム・アルトマン氏が2023年11月17日、突然解任されたのです。
生成AIをリードしてきた企業トップが前触れもなく職を失うとは、あまりにも突然のことでこのニュースは世界中を駆け巡りました。
アルトマン氏電撃退任、OpenAI混乱のワケ
営利を重視し普及を急ぐアルトマン氏の路線と、安全性を重視する取締役会との間に生まれた溝が今回の混乱の原因・・・。
(日経電子版 2023年11月21日)
今回の解任劇の原因は、生成AIを今後どのように発展させていくのか。その成長路線を巡る対立とみられています。
営利を追求するアルトマン氏とより安全性を求める取締役会の対立はその溝を埋めることはできませんでした。
そして、2023年11月20日、アルトマン氏と共同創業者のひとり、グレッグ・ブロックマン元社長が、Microsoft入りすると発表されました。
Microsoftは自社のアプリに生成AIを組み込むことを目指していますから、このふたりともAI開発に加わるとすれば、そのスピードはさらに速まると考えられます。
たとえば、今後はWordを立ち上げてタイトルを入力するだけで、作成者に最適な本文が自動生成されるかもしれません。
また、Officeアプリ に会議を傍聴させておくと、会議終了時には立派な議事録ができ上がるという事も数年後には夢ではないでしょう。
オープンAI社員、取締役全員の辞任要求-マイクロソフト移籍示唆
米オープンAIでは、大多数の従業員が、現在の取締役会メンバーが全員辞任しない限り、最高経営責任者(CEO)を解任されたサム・アルトマン氏に続いてマイクロソフトに移籍する・・・
(Bloomberg 2023年11月21日)
その一方で、GoogleやAmazonなども生成AIの技術革新に乗り遅れまいと、開発のスピードを引き上げ始めました。
日本からはこの解任劇に始まる、新ポストへの就任劇を面白がって傍観していればいいのでしょうか
ただの内輪もめ、ドタバタ騒動と高をくくっていると、もう日本には手の届かない領域にAIが発展-筆者にはそう思えて仕方がありません。
この一連の騒動が収まる頃、生成AIの世界はさらに一歩進んでいくことは確実です。
。そしてこの騒ぎこそ、AIの次の時代を作るAGI(Artificial General Intelligence:人口汎用知能)への土台ならしとなることでしょう
騒動からは遠い日本から、私達は指をくわえて眺めているほかなさそうです。(水田享介)