本の話題としては驚くようなニュースが伝わってきました。
あのGoogleが2500万冊もの書籍データを一般に公開することなく、データベースのまま保管しているというのです。
Googleは絶版本を含む約2500万冊もの書籍をスキャンしたデータベースを持っているが
誰にも読まれず眠っている
Googleは数年に及ぶ時間と推定4億ドル(約600億円)ものコストをかけて、約2500万冊もの書籍をスキャン…。2500万冊もの書籍がスキャンされたデータベースはGoogleのどこかに眠っています。
(GIGAZINE 2024年10月23日)
(原文-Torching the Modern-Day Library of Alexandria – The Atlantic
https://www.theatlantic.com/technology/archive/2017/04/the-tragedy-of-google-books/523320/)
記事によるとGoogleは2004年までには、米国内のいくつもの大学や図書館と契約を結び、ピーク時には50人ものスタッフを抱えて、書籍のスキャンを行っていました。
そのデータは全文検索サービス(Googleブックス)に使うことが目的でしたが、全米作家協会や出版社団体が著作権保護を訴えて、訴訟となってしまいました。
一時はGoogleが出版業界に費用を支払うことでライセンスが取得されると思われましたが、やはり他のデジタル企業や研究者などから、過去の出版物に対してGoogleの独占につながるとの理由から、集団訴訟に発展。
この裁判の結果は、2016年にGoogleの勝訴で終わったのですが、結局はGoogleは一般公開もデジタル販売も行わないまま、現在に至っています。
あのAppleが音楽のデジタル配信に成功して、従来の音楽ビジネスを一変させたのに比べると、なんとも手際の悪さが印象的です。
この裁判の経緯は、2016年の記事で詳しく報じられています。
Googleの書籍全文検索サービス「Googleブックス」は著作権違反なのかそうではないのか?
アメリカの法律では、版元の許諾なく著作物を利用しても「フェアユース(公正な利用)」であると認められれば、著作権侵害には当たりません。その「フェアユース」の判断基準は4つ…。
(GIGAZINE 2016年02月12日)
Googleが始めた書籍のデータ化事業は「フェアユース」なのか。それとも著作権の侵害や権利者利益の損害にあたるのか。いまだ決着は見えていないようです。
今では貴重な古書や絶版となった書籍、合計2500万冊もの書籍データは、誰に読まれることなく、今もデジタルの闇の中で眠り続けているのです。(水田享介)