オリジナルコラム

出版がわかる!企画から書店販促のすべて

自費出版は詐欺っぽい?

2023.02.22

自費出版しませんかと提案すると顔を曇らせる方がいます。
その理由はこれまで大きく分けて3つありました。
・高額で予算が合わない。
・自尊心の問題。お金を出してまで出版するのは必死そうで格好が悪い。
・商業出版の可能性を捨てきれない
いずれもお金が絡んでいます。
自費出版は著者が製作費を負担することになりますが、費用に値する満足感や価値観が得られない場合に不満が生じます。それが「自費出版は怪しい」「自費出版は詐欺っぽい」といわれる要因です。
具体的には下記のような内容です。

ケース1:なぜ本を作る前にお金を払うのか説明がない
ケース2:書店に配本されなかった、どの書店においてあるのかわからない
ケース3:オプション費用で上がり、当初の基本費用とかけ離れる
ケース4:校正ミスが多発。または校正されていない
ケース5:営業と編集で言うことが違う

それぞれについて説明します。

【ケース1:なぜ本を作る前にお金を払うのか説明がない】
出版社が書籍を制作するには、様々な工程が必要です。
原稿編集、DTP、組版、校正(3回)、印刷、製本、カバー制作、デザイン制作などです。
さらに書店への陳列を行うには書店への事前案内、取次店との交渉が必要です。
印刷会社の場合は組版、印刷、製本のみで書店へ納配本もないので格安となります。
出版社の場合、これらの工程により発売前に経費が発生しますので、事前に制作費を収めていただいています。

【ケース2:書店に配本されなかった、どの書店においてあるのかわからない】
出版社と打ち合わせする際に配本を希望する、しないを確認されませんでしたか?
しかじ、実際には初めて執筆する人は書く内容や、スケジュールで頭が一杯になっていて気が回らないと思います。「大きな書店にはあります」と説明されても、大きな書店とはどういう書店なのかわからないと思います。これは出版社の説明不足と思います。弊社では3冊以上納品された書店を都道府県別にリスト化して差し上げています。全国の書店を著者が訪問することは難しいですが、最近は多くの方がSNS上でこのリストをもとにお仲間が書店回りをされており、リストはとても重宝されています。

【ケース3:オプション費用で上がり、当初の基本費用とかけ離れる】
制作費を開示している出版社はほとんどありません。その理由は製作費とは文字数(総ページ数)、判型、色使い、図版の量、発行冊数によって変動するからです。オプション費用とはゴーストライターによる代理執筆料、規定量以上のイラスト作成(マンガ版等)、新聞広告費用、電子書籍製作費などを指します。
ここは最初の打ち合わせでしっかり確認するようにしてください。

【ケース4:校正ミスが多発。または校正されていない】
出版社にとって校正校閲は重要な業務です。校正とは誤字脱字、文言の統一、論理矛盾がないか、適正な表現となっているか、他書から引用の確認、無断引用がないか、誹謗中傷がないかなどを行う作業です。大手出版社では校閲を専門に行う部署があり、許可なしには出版できない仕組みになっています。ミスの多い本は著者にとっても残念ですし、無断引用は発行中止となり、書店からの引き上げに至る場合もあります。書店の出版社への印象は非常に悪くなります。
校正を甘く見ている出版社への依頼はお奨めできません。

【ケース5:営業と編集で言うことが違う】
「あなたの本が全国の書店で平積みになります」「配本された本の最低3割は売れます」などは根拠がありません。ですのでこれらは受注するための営業トークです。
全国の書店軒数は8642軒(2022年版『出版物販売額の実態』日販)です。仮にあなたの本が1,000冊制作されたとして、すべての書店には行きわたりません。この言葉を信じ、制作にとりかかると担当者は編集者に代わり、やがて本ができた頃には想定通りにならず、トラブルになるケースがあります。出版契約書をよくご確認ください。
営業トークで語られた言葉が書かれているでしょうか。
出版契約書には法的拘束力はありません。制作費を支払う前に中味を確認され、疑問点は明らかにしましょう。打ち合わせから納品、販促まで一貫して同じ担当者が並走することが望ましいと思います。

自費出版はもちろん詐欺ではありません。ほとんどの出版社が誠意をもって行ってます。ただ、どうしてもトラブル報告はネット上で目立ちますので怪しげな印象を待ってしまいがちです。何が正しく、何が変なのか相談する相手を持ちましょう。
分からないことがありましたらいつでもご相談に乗らせていただきます。

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