オリジナルコラム

出版がわかる!企画から書店販促のすべて

ヒットはどう生まれるの?

2024.07.31

このたびアスカ・エフ・プロダクツにJOINすることになった田中です。
主に、企画・編集面を担ってまいります。

ところで、「どうすれば売れる本が作れるのか」とか、「どうすればヒットが出せるのか」とか、そういう話が議論にのぼることが多いのですが、実際のところはどうなのでしょうか。

きっと何か、秘密めいたセオリーがあるに違いない、と思うかもしれません。

あるいは、長年積み上げた会社固有のノウハウとか、編集者個々人の技量があるだろうと思われるかもしれません。

たしかにそういうのは、多かれ少なかれあるのでしょう。
でも実際のところ、答えは、あるようでいて、ない、というのが真実だと思います。

どの業界でもそうだと思いますが、こんなにヒットするとは思わなかったとか、誰からも期待されていなかったとか、よくわからないけど賭けてみようと思って決めたとか、そういう企画が大ヒットになることは、少なくないように思います。

というよりも、大きなヒットって、そういうふうにして世に出たケースのほうが多いのではないでしょうか。

では何がきっかけで、その企画は動き出し、何を原動力にして、それは形になったのか。

結局それは、最初も最後も、そこに集った人の「感性」と「熱意」に拠るのではないか、と私は思っています。

「これはイイと思う」「イケると思う」という感性。
「これはぜひカタチにしたい」「この人と一緒にやりたい」「これを世に出したい」という熱意。
それがすべてではないか、と思うのです。

先ほど、「最初」と「最後」と言いました。
そう、最初と最後は、感性と熱意がものを言う。
そのあいだの「プロセス」には、多くの技巧(ハウツーですね)があります。
でもしょせんそのハウツーだけでは、ヒットなんて生まれません。たぶん、なかなかカタチにすらなりにくい。それが真実だと思います。

編集者に求められる最大のものは、ここで言うところの「感性」だと、私は考えています。
要するに、何を「イケてる」と思うのか、という一点です。
それは、なかなか言語化できません。
というより、人によって違うものです。
編集者それぞれの、人間性をかけたものだと思うからです。

一方で、著者にとって大事なもの、それが燃えたぎる「熱意」ではないかと、私は考えています。
熱意は、必ずしも外側に発出されたものである必要はありません。
内に秘めたものでぜんぜん構いません。
いずれにせよ、なんらかの形で、オモテに出てくるはずだからです。
目の輝きだったり、言葉のトーンだったり、伝えようとする姿勢だったり。あるいは文章だったり。

そうした「感性」と「熱意」がぶつかるとき、その企画は熱を帯びて前に進みだします。
感性と熱意ががカチっとかみ合った企画は、本当にしあわせな企画です。

そういう企画を、改めて、ぜひとも世に生みだしていけたらいいなと思っているこの頃です。

ーーー

■今日のあとがき

「感性を磨く」って、答えがないし、難しいですよね。実際、よくわからないですし…。
そういう中で私がやっていることの一つに、「NHK 連続テレビ小説」を見る、というのがあります。
だって、毎週、ほぼ必ず、視聴率ダントツ1位ですからね。
これほどのヒットコンテンツはなかなかありません。
あと、読売新聞を読む、というのもあります。なにせ、世界一の発行部数ですからね。
・・・それにしても、「トラつば」最高です!

田中裕也

一覧へ戻る ▶