若い頃は、特に中高生の頃は就職か進学か-どちらに進むにせよどんな職種、どんな学部が自分に合っているのか、悩みはつきません。十代の多感な時期にもあたり、誰しも進路に悩んだ経験はあるでしょう。
ちなみに最近の男子中学生がなりたい職業のトップは…、
なんと、YouTuber(ユーチューバー:映像を見せて収益を得る人)だそうです。
男子中学生がなりたい職業は?ランキング形式でTOP10を発表(最新版)
そんなYoutuberですが、有名人になれば広告収入でとんでもない年収が期待できます。
はじめしゃちょー さん、HIKAKIN さんなどは年収で億は軽くいっているとされており、社会人の平均年収(約400万円ほど ※doda 平均年収ランキング調べ)を遥かに上回る…。
(ベスト進学ネット 2024年6月5日)
https://www.best-shingaku.net/s-matome/other/c000795.php
やっとの思いで専門学校、短大、大学に進んだとしても、そこは安住の地ではありません。再びどこに就職するのかと親や教員から進路をせっつかれます。職業としての教師や公務員、名の通った大企業を目指すなら試験準備が必要です。早い人では1、2年前から試験対策や就活(終活ではありませんよ)を始めると聞きます。
そんな進路の悩みの中にいる若者や、そういう時期のお子さんをお持ちの両親、兄弟、親戚の方に、ぜひとも読んでいただきたい本が出版されました。
『デザイナーのスタートライン』
(デザイナー×キャリアコンサルタント 凡人デザイナーの、キャリアの振り返りと気づき)/著者・羽賀まさあき
著者の羽賀まさあき氏は新潟生まれ。専門学校でプログラムを学び、東京のIT企業に就職するとプログラマとして着実に実績を積み重ねます。
しかしプログラマに飽き足らず、語学留学でオーストラリアへ。帰国後はふる里の新潟市で様々な職を経験し、悩みながらの自分探しが始まります。
そうこうするうちにデザイナーの仕事が増えていきます。偶然再会した幼馴染みの紹介で、お得意様に気に入られ、口コミでとデザインの仕事は増えていきます。
ふと我に返った著者は、自分はなぜデザイナーになったのかを自問し始めました。
著者は自分の人生を小学生時代まで振り返り、自分が好きだったことや達成感を得たことを追体験しながら、この本の第一章が始まります。
デザイナーとはデザイン学校や美術大学に進んだ人がなるものと思っていた筆者は、頼まれ仕事から「なんとなくデザイナーになってしまった」経歴を丁寧に描いています。
その語り口は優しく、昔の自分がやらかしたいくつもの失敗体験に寄り添いながら、仕事に馴れすぎずしかしデザイン技術を確実に積み上げ成長する過程を温かく見守っていきます。
それもそのはず。著者はキャリアコンサルタントの資格を持つ、人育てのプロなのですから。
この本は、デザイナーになる方法論、ノウハウ本ではないと著者は断っています。
実はこの本の良さは、ビジネス書に多いすぐ使える技術を授けるネタ本に陥ってはいません。そのため自分の未来像をいまだ描けていない人、デザイナーに限らず何かの職能を身につけたい人に読むことをおすすめします。
本から得られる技術はいまある職業に限られています。これから5年後、10年後、20年後にどんな職業があるのか、それが判る人はひとりもいません。
未来の職業を手にできるのは大人達ではなく、未来の自分がわからない十代、二十代の少年少女、若者達しかいないのです。
自分はいったいどんな大人になるのかと将来に不安を持つ若者に寄り添うこの本は、もがき苦しむことの大切さを著者が自らの体験をもって示しています。(水田享介)