2023年の3月は久しぶりに野球一色になりました。そう、WBCですね。サムライジャパンで日本中が大いに盛り上がりました。
筆者は仕事の都合でリアルタイムには視聴しませんでしたが、録画やスポーツニュースで楽しんで鑑賞しました。
なかでも大谷選手の活躍は目を見張るものがありました。
大谷選手は11年前、17歳の高校三年生の時に書いた「人生設計ノート」でWBC優勝とMVPの獲得を目標に定めていたそうです。
高校三年生といえば、まだプロにもなっていないアマチュア野球の選手。二度の甲子園出場ではいずれも1回戦敗退でした。
そんな17歳の青年の目標が、野球の世界一を決める大会で優勝しMVPを獲る。もし自分の兄弟なり身内が、そんな宣言をしてもフッと鼻で笑ったかもしれません。
それくらいはるか遠い目標を大谷選手はなぜ立てたのでしょうか。
当コラムでは以前、大谷選手のマンダラチャートを紹介しました。そこに書かれていた意外に地道な目標のほとんどをメジャーリーガーとなった今も、実践していることに驚いた人も多いことでしょう。
[第3回]本気で本を書きたい-その2
マンダラチャートは未来を描くツールだけではありません。目標達成のための取っ掛かりとして、自分自身への作業指示書として活用できます。
https://asuka-f.co.jp/afp/column/vol3
高校時代の大谷選手を指導した花巻東高校野球部、佐々木洋監督のことば--「選手それぞれに書かせます。目標達成に何が必要かを考え、イメージさせる。目標が人を引っ張り上げてくれるんです」(スポニチ 2013年2月2日号より引用)
目標を文章に表現して明らかにすることで、「目標が人を引っ張り上げる」そうです。言葉だけのきれいごとでただの「自己暗示」にすぎないと言う方もいるでしょう。
筆者の体験で言うと、目標を書き残すことには大きな意味があります。サラリーマン一年目でコピーライターになる目標を立てた筆者は、時間をやりくりしながら通信講座を続け、2年間の会社員を経て広告会社に転職しました。
次の転機は、ゲーム業界、デジタル映像への進出です。Apple社が主催するデジタル映像作品集を観て、来年は自分の作品をこの中に収めたい、と考えました。そして機材を揃えると映像作品を作り始めました。
翌年、ドキュメンタリー部門で作品賞を受賞。日本国内のコンピューター雑誌で紹介されました。その宣伝効果のおかげか、ゲーム業界はもちろん、テレビ、映画、ネットでも映像作品を手掛けることとなりました。
肝心の大谷選手ですが、19歳でメジャー入りのはずが「人生設計ノート」通りとは行きませんでした。2013年、日本のプロ野球球団「日本ハム」に入団。抜群の成績を残し、数多くのメジャー球団に注目されます。2018年、自ら選んで入った「エンジェルス」は弱小球団で、ワールドシリーズ進出はいまだかないません。そして、トミージョン手術で2年近くのリハビリも体験。思い描いた通りに行かない中で勝ち取ったWBS優勝とMVPだったのです。
「夢が人生を作る」(大谷選手17歳の時のことば)。
くじけそうになったときに彼を救ったものこそ、高校生時代に書きためたチャートやノートだったのかもしれませんね。
本を書くことを「人生の思い出作り」ととらえてはいませんか。本を書くことはご自身に新しい目標を立てて、人生にチャレンジする始まりです。(水田享介)