ブックデザイナーとは古くは「装丁家」、現在は「書籍デザイナー」とも呼ばれ、本の制作・出版にあたって編集者が担当する本文などの文字部分以外のデザインを担当します。
具体的には、書籍の表紙デザイン、本文の書体、文字サイズの選定に始まり、紙質やブックカバーデザイン、イラストの内容、イラストレーターの選定など、本の見た目を決定するほとんどを制作しています。
和田誠氏、横尾忠則氏など、著名なイラストレーターやグラフィックデザイナーがブックデザイナーとして数多くの装丁を手掛けたことでも知られる通り、アートやデザインを志すデザイナーの卵たちにはあこがれの職業でもあります。
ときにはブックデザイナーの腕次第で、本の売れ行きが左右することもあるため、本作りにおいては編集者と肩を並べるキーマンなのです。
では、どのような手順でブックデザイナーは仕事をしているのでしょうか。
まず、著者と編集者の間で本の内容を打ち合わせて、著者が初稿を書き上げます。本のタイトル案が出て本の内容がおおよそ固まってきた頃から、ブックデザイナーが参加することが多いようです。
本の内容とタイトル案を受け取ったブックデザイナーは、それにふさわしい表紙をデザインします。対象となる読者層を勘案して、著者や編集者に数案を提案しながら、共同作業で本のイメージを作り上げていきます。
同時に本文のデザイン、写真やイラストなども提案します。著者が手書きの図面や図表を用意していれば、それらをきれいに描き起こす必要もあります。
ただし、これらの図案はブックデザイナーが描くとは限りません。ブックオペレーター(DTPオペレーターともいう)に指示書を渡してそちらに実作業をゆだねるケースが多いです。
実は、ブックデザイナーだけではなく、ブックオペレーターがいなければ完全デジタル化した現在の出版業界では仕事が成り立ちません。(ブックデザイナーがオペレーターを兼任することもあります。)
ブックオペレーターとは、ブックデザイナーが制作した本のデザインをPC上でデータに仕上げて、印刷所に渡すのが仕事です。いわゆる、DTP作業ですね。
そのため、PCやアプリケーションを使いこなす実務能力が求められます。また、デザインと印刷の間をつなぐ役割を担っているため、ブックオペレーターはデザインの知識と印刷技術の知識の両方も求められるというきわめて専門性の高い職種です。
アスカエフプロダクツの企業出版・個人出版では、一冊の本を完成させるまで、書籍編集者だけでなくブックデザイナーやブックオペレーターなどいくつもの専門職がチームとなって働いています。
1985年にDTPが誕生して約40年。いまでは個人ひとりでも電子出版が可能な時代になりました。それでも専門職人を揃えた出版社だからこそできる高品質な書籍作りを、アスカエフプロダクツは心がけています。(水田享介)