今回のコラムは筆者がかつて参画していたゲームの話です。
1990年代の平成日本。バブルもはじけようかというこの時代に、ゲーム業界はまだまだ元気でした。
とあるゲーム会社のプロジェクト立ち上げに誘われ、ゲームデザイナーとして成功していた友人をメインに、新たなゲームの開発に取り組みました。この友人は「ドラゴンクエスト」シリーズの制作者のひとりであり、すでにゲーム業界では著名人でした。
苦節すること3年。ようやく完成したゲームが初代「メタルマックス」です。筆者はこのゲームの広告から、パッケージデザイン、取扱説明書まであらゆる広報活動を担当して、周知に努めました。
あれから30余年。このゲームシリーズは幾度も消滅の危機に遭いながらも、根強いファンや制作スタッフの後継者に恵まれて、続編が作り続けられました。ニンテンドースイッチ、プレイステーション4などのタイトルも生まれ、今でも遊べる現役のゲームとなっています。
今月初め、SNSのX(旧Twitter)で懐かしい画面を見つけました。メタルマックスシリーズの初期のゲーム画面です。
紹介しているのはイギリスで発刊された書籍で、タイトルは「A guide to Japanese role-playing games(日本のRPG史)」。この書籍のなかで「メタルマックスシリーズ」が紹介されています。
2021年の発行でしたがすぐに在庫切れとなり、再版が待ち望まれていたそうです。今年の春にようやく再販売されることになりました。
現在、出版社の公式サイトで詳しく紹介があります。
Bitmap Books Limited
https://www.bitmapbooks.com/
『A guide to Japanese role-playing games』
https://www.bitmapbooks.com/products/a-guide-to-japanese-role-playing-games
出版社・公式サイトのレビューでは、1303評価のうち、最高評価の5は1262。96%が最高評価。 また、大手の書籍通販サイトでの評価は200以上あるうち、最高評価の5は88%です。
まぁ、ゲーム好きの人しか買わない本ですから、評価が低くなるはずがありません。
ニッチな世界の仕事でも、熱烈なファンがいてくれると、30年も40年も支えてくれるものです。
どんな仕事であっても、誰も見てくれていないなどと思わず、自分が納得できる仕上げにしておくことは大切です。どこかに応援してくれるファンは必ずいます。
そんな気持ちにさせてくれるできごとでした。(水田享介)