ChatGPT が登場してから、一年が過ぎました。
いろいろな職種、業界で導入が試みられ、うまく使えているところとそうでないところに分かれてきているようです。
2022年の暮れに筆者が何度か利用した感想としては、
1)商品やサービスのサポート部門、カスタマーサービスには相性が良い。
2)検索のステップが省略できるので、検索サイトの脅威となる。
3)検索用語を考えなくても、質問文だけで答えが得られる(得られないことも多い)。
不確実な問いに対しても、それなりに答えてくれる点は大いに評価できると思いました。
ただ、その程度では満足できない場合もあるようです。香川県のとある市役所では、市民への案内サービスにChatGPTを使う計画でしたが、断念しました。
生成AI使ったゴミ出し案内サービスの導入断念 香川 三豊市
生成AI「ChatGPT」を使ったゴミ出し案内サービスの実証実験を進めていた香川県三豊市は、AIによる正しい回答の割合が目標に届かなかったことから、本格導入を断念…。
(NHK NEWSWEB 2023年12月20日)
正解率の低さが断念の理由でした。最初のテストでは62.5%でしたが、2回目は94.1%まで上がったのになぜ採用しなかったのか。
職員専用のツールとしては使えても、市民に直接つかってもらうサービスでは6%の誤りは許されなかったようです。
東京都 生成AI導入も 利用する職員 対象の1割にとどまる
行政サービスの質を向上させようと、ことし夏に生成AIを導入した東京都では、「何に使っていいかわからない」などの理由から利用する職員が対象の1割にとどまっている…。
(NHK NEWSWEB 2023年12月21日)
東京都の場合は、職員が活用して行政サービスの効率化を目指したはずが、9割の職員は使っていなかったとのこと。
ChatGPTの機能を自分の職務の中にどう活かすのか。それは職員ひとりひとりがトライアンドエラーを繰り返して発見するしかありません。
これまでのワードやエクセルなどの業務アプリのように、パソコンにインストールしておけば、次第に使い始めるだろうではすまなかったようです。
教育の分野ではすでに活用されているケースも数多くあります。
小学校でも活用 生成AIがもたらす学びの革命
東京学芸大学附属小金井小学校はことし3月、いち早く生成AIを授業に取り入れた。この日の4年生の社会の授業のテーマは、「江戸時代に水路が引かれたことで地域の暮らしはどう変わったか」だった。
(NHK NEWSWEB 2023年12月20日)
教科書のような絶対的な正解を求めるのではなく、個人の考えを引き出させたり議論を活性化するツールとして役立っているようです。
ChatGPTはかしこい面もありますが、常に正解を求められるシーンには使いづらいかもしれません。
また、他の著作物からの引用や間違った情報が回答文に混入してくるため、それを区別して構成し直す知見が使用者には求められます。
生成された文章を受け取っても何も知識のない人にはかえって危険なコンテンツとなります。
生成AIをどう使いこなすのか。官公庁にとっては大きな課題となっているようです。(水田享介)