オリジナルコラム

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[第45回]-書籍の作りと基礎知識-1

2024.06.27

 書籍には近いところで江戸時代、大昔となると古代中国まで遡る長い歴史があります。出版業界には本に関する専門用語がとても多く、個人の方がいざ本を書こう、出版しようとすると、この用語の難解さに戸惑う方もおおいことでしょう。

 今回は書籍に関する基本的な用語をご紹介します。

 まず、誰もが最初に迷うのが本の開きです。

 「右開き」、「左開き」。なぜ二種類あるのか。

 「右開き」とは表紙の右側を綴じた本を指します。開くと右のページから左のページへと読み進むことになります。
 これは日本語が縦書きという伝統から来るもので、「右開きの本は縦書き」が原則です(※)。
※ただし、アラビア語は横書きで右から左へと読むので、「アラビア語の本は横書きで右開きとなる」そうです。

 「左開き」の本は、表紙の左側が綴じてあります。文章は横書きで左のページから右のページに読み進むのが自然です。
 欧文は横書きで左から右に読み進むことから、洋書の翻訳本、欧文や数式を含む技術書や情報誌、マニュアル本などは左開きが多くなっています。
 ちなみに日本の教科書は国語(日本語)の本は右開きですが、それ以外の科目は左開きが主流です。

 ここまでの話をまとめると、

 「右開きの本は縦書き」、「左開きの本は横書き」

 が原則となります。

 ただし、最近では電子書籍も一般的になり、その中でスマホ(スマートフォン)に特化したデザインも出始めました。

 それは、「縦スクロール」

 縦長のスマホ画面は縦スクロールとの相性がよく、一画面ずつ区切りながら、縦書きでも横書きでもレイアウト可能となります。「縦スクロールコミック」(略してタテスクコミック)も人気となっています。

■本の主要なパート名称

 本を手にした時、開いた時に見える部分の主な名称。基本知識ですがこれを知っているだけでも、本に詳しい人と思われます。

 1.「天(てん)」=本の上辺
 2.「地(ち)」=本の底辺
 3.「背(せ)」=本を綴じた面の外側。主にタイトル、著者名が入る
 4.「のど」=本を開いた時の綴じた側。
 5.「小口(こぐち)」=のどを除いた天、地を含む3辺。

 6.「表紙」=本文を保護するため厚紙でつけた外装。反対側は「裏表紙」、背側は「背表紙」。

 7.「カバー(ジャケット)」=6.の表紙を巻いてかけられている紙のこと。「表紙カバー」とも言う。カバーは書籍の外側にあり本のイメージを左右するので表紙と思われがちだが、表紙ではない。

 8.「ハードカバー(上製本)」=表紙を分厚い用紙で作ったもの。本文がたわんでもハードカバーはたわまない。これに対して「ソフトカバー(波製本)」は本文より幾分厚紙のもので、本文と一緒にたわませることができる。
 9.「帯」=7.のカバーのさらに外側に巻き付けてアピールする広告ツール。その形態から古くは「腰巻」ともいわれた。

 10.「見開き」=本を開いた時、ページが左右に開いた状態。「見開きページ」ともいう。

 本の名称はまだまだありますが、今回は本の外観までをご紹介しました。次回から本の中身について説明します。(水田享介)

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