前回はまずは単語を並べる所から書き始めましょう、とご案内しました。
ご自身の本を書く前に大切な要素を単語にして並べてみましょう。
人生の節目となることばはどなたにでもあるはずです。可能であれば6つ~8つは思い浮かべてください。もちろん、それ以上でもかまいません。
これだけで本ができるでしょうか。大丈夫です。
次にとても大事なステップがあります。
1)A3サイズかそれ以上のサイズの紙を用意します。
2)そこに用意サイズぎりぎりの大きさで縦3列×横3行のマス目の線を引きます。漢字で表すと「囲」の形ですね。
3)各ひとマスにもういちど縦3列×横3行の線を引きます。
4)紙には9×9=81個の長方形ができました。
5)エクセルなどの表計算が使える方は、カンタンに作成できますね。
この表のことを「マンダラ(曼荼羅)チャート」といい、自己実現のためのツールとして使われています。
米プロ野球選手(大リーガー)として活躍中の、あの大谷翔平選手も実は高校一年生の時にこのマンダラチャートを作成しています。
大谷 花巻東流“夢実現シート” 高1冬は「ドラ1 8球団」
高校1年冬に立てた目標は「ドラ1 8球団」。そのために必要なことを、より具体的に1枚のシートに記した。同校の佐々木洋監督は「選手それぞれに書かせます。目標達成に何が必要かを考え、イメージさせる。目標が人を引っ張り上げてくれるんです」と説明する。
(スポニチ 2013年2月2日掲出)
大谷選手とはいえ、2010年当時はまだ高校一年生。プロ野球選手が将来の夢であったとしても、具体的なイメージを持つことはとても難しかったことでしょう。このチャートと大リーガーとなった今の姿を並べてみると、15歳の少年が成し遂げたことの大きさがよくわかります。
マンダラチャートは未来を描くツールだけではありません。目標達成のための取っ掛かりとして、自分自身への作業指示書として活用できます。
たとえば、中心に「○○について本を書く」と書き込みます。次に隣接する左上の四角から時計回りに学生時代、就職、結婚、仕事、など人生の節目となることばを書き入れていきます。
書き残しておきたい知識や趣味を優先するなら、個人的な事柄を省いて、ジャンル分けをして8つのマスを埋めても良いでしょう。
8つのことばをその外側の中心枠に書き写して、それぞれにさらに8つの説明を書き加えていきます。
ここでは自分の経験や知識などを書き込む場所ですから、さほど頭を悩ませずに書けるでしょう。もちろん、夢物語を書く必要もありません。
一枚で足りなければ、もう一枚でも二枚でも書き足していきます。
いかがでしょうか。一枚の紙にまとめてみると、まだ書き足りないこと、書く必要がなくなったことなどが明らかになってきませんか。書き足りなければ、さらに外側に枠を増やしても良いでしょう。
ここまで書けば、本の企画書らしきものが見えてくるはずです。
本を書くとはいきなり原稿を書くことではありません。
その前に企画書がなければ、どんな本を書きたいのか、だれが読むと考えられるか、出版をお手伝いする私たち(アスカ・エフ・プロダクツ)が判断ができません。
そつなくまとまったプレゼンテーションのような企画書は不要です。書きたい要素をもらさず詰め込んだ宝箱のような企画書がよい企画書といえるでしょう。(水田享介)
※このコラムは、アスカ・エフプロダクツ 取締役 浜田充弘氏へのインタビューを元に構成しています。