この連載ブログは、「あなたの人生、そしてあなたの会社の『ブランド』を、本にしませんか?」という提案のもと、あなたの中にある「遺産」(経験、知見、価値観、想い)を、あなただけの「一冊の本」として、未来へ遺すためのお手伝いをする全30回のシリーズです。「本」という形を通して、あなたの人生、そしてあなたの会社の「ブランド」を、より豊かに、そして後世に伝えていきましょう。今回は第2部、第14回目です。(過去記事:第1回 / 第2回 / 第3回 / 第4回 / 第5回 / 第6回 / 第7回 / 第8回 / 第9回 / 第10回 / 第11回 / 第12回 / 第13回)
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『あなたの人生を、最高傑作に。~人生を編集し、未来へ遺す30のヒント~』
第1部:あなたの中に眠る「遺産」を発見する(1〜5回)
第2部:自分史を編み、未来へ遺す(6〜15回)
第3部:ブランドストーリーを紡ぎ、未来へ繋ぐ(16〜25回)
第4部:「本」が繋ぐ、過去・現在・未来(26〜30回)
【 今回は第2部の14回目です 】
自分史の総括――人生を振り返り、形にする意味と、贈る喜びと。
前回までに、私たちは「自分史を編む」ための数々のステップを試行錯誤しながら進めてきました。具体的には、人生の棚卸しをして心に残るエピソードを探り、文章や写真、デジタル技術まで駆使して、ひとつの「自分史」を紡ぎ上げるイメージをつかんできました。
でも、ここでふと疑問に思うかもしれません。私たちは一体、なぜそんなに手間をかけてまで「自分史」を作ろうとしているのだろうかと――。結論を言えば、それはあなた自身の人生を再発見し、そして誰かと共有するためです。今回は、この連載の第2部を締めくくるにあたって、自分史づくりの総まとめをしつつ、その「贈る」喜びや価値をもう一度見つめ直してみたいと思います。

1. ここまでを振り返る
まずは、第6回から第13回までをざっと振り返ってみましょう。自分史づくりには、段階的なステップがあることにお気づきになったかと思います。
人生の棚卸し
これまでの経験を洗い出してみると、「あれ? こんな些細な出来事が、意外と今の自分を支えているかも」と思わぬ発見があったりします。
印象深いテーマや場面をピックアップ
世の中には年表形式でまとめる人もいれば、趣味や仕事など特定のテーマに特化して描く人もいます。自分に合った“型”を選んでみると、書きやすさがぐっと上がるのが面白いところです。
文章や写真の活かし方
五感に訴える表現や、昔の写真・資料のデジタル化、さらには紙の本やオンラインでの発表……いろいろな方法を知る中で、自分史はこんなにも幅が広いんだと気づいた方もいるかもしれません。
一連の流れを通じて分かったのは、「自分史」はただの思い出整理ではなく、あなた自身の人生を再発見する作業であるということ。そして、そこにあなたの想いや個性を宿らせるため、様々な技術やアイデアを取り入れることができるという点です。
2. 自分史づくりから得られるもの
自分史は、作る過程でも完成後も、たくさんの喜びや学びをもたらしてくれます。たとえば、大きなメリットのひとつとして挙げられるのが“自己理解の深まり”です。昔の自分と今の自分を見比べると、「あのとき夢中だったことが、実はこの仕事につながっていたんだ」なんて思わぬ連鎖を発見できるかもしれません。
また、“未来への道しるべ”を見つけるきっかけにもなります。自分史を書くうちに、「本当にやりたいこと」「これから優先すべきこと」がクリアになり、新しい挑戦へと背中を押してくれることがあるのです。過去を振り返る作業が、逆に未来を切り開く原動力になってくれるのは、ちょっと不思議でワクワクする感覚ですよね。
さらに見逃せないのが、家族や友人など“周囲との絆”が深まることです。人は誰しも、いろんな人や環境に支えられて生きていくものです。だからこそ、自分史をまとめていく過程で、家族に昔のアルバムを借りたり、懐かしい友人に連絡を取ってエピソードを確認したりすると、いつの間にか「あのときは本当に助かったよね」「会えなくてもずっと気にかけていたよ」という温かな思いが行き来することがあるのです。
3. “贈る”ことで生まれる喜び
ここで改めて強調しておきたいのが、「自分史を贈る」という行為が持つ力です。完成した自分史を、大切な人たちに手渡したり(あるいはリンクをシェアしたり)することで、思い出は一気に“共有財産”へと変化します。
例えば、祖父母が作った自分史を孫が読めば、知らなかった時代の苦労や冒険談に驚いたり、あるいは同じ趣味を持っていたことに親近感を抱いたりするでしょう。親が子どもに渡す場合には、「お父さんやお母さんにも、こんな若い頃があったんだ」という発見があって、ちょっとした笑いと尊敬が同時に生まれるかもしれません。
もちろん、友人同士での共有も素敵です。長年の親友であっても、聞いたことのないエピソードはたくさんあるはずです。「あのとき実は、こう思っていたんだ」といった胸の内が文章や写真に表れているのを見たら、「そんなふうに感じていたとは思わなかった!」と二人の絆が一層深まる可能性も大いにあります。

4. 次回は実例紹介へ――具体的なストーリーで学ぶ
さて、ここまで一緒に「自分史づくりの旅」を歩んできましたが、「でも本当に自分でもできるのかな?」「人はどんなふうにまとめているんだろう?」という疑問がある方もきっといるでしょう。次回(第15回)は、実際に自分史を作り上げた人のストーリーを通じて、プロセスや苦労、完成したときの感動などを具体的にご紹介します。
まとめ
今回の第14回では、これまで学んできた自分史づくりを総括し、その可能性や「贈る」ことの意味を改めて確認しました。
そもそも自分史というのは、単なる過去の記録でも、自己満足だけの本でもありません。そこには、あなた自身が“どんな道を歩んで来て、これからどこへ向かおうとしているのか”という物語が息づいていて、それを大切な人たちと共有するという行為が、さらに新たな感動や発見を生み出してくれる、そんな大きな可能性を秘めたものなのではないか、と私たちは考えています。
次回は、実際に自分史づくりにチャレンジした方の体験談をお届けします。取材にお時間をいただくかもしれませんが、しばしお待ちいただければ幸いです。
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▶︎ 次回の記事:【新連載/第15回】 執筆中
▶︎ 前回の記事:【新連載/第13回】 デジタルで出版する新しいかたちを考える
▶︎ 前々回の記事:【新連載/第12回】 自分史を「本」という形に――手にとって感じる喜びと未来への贈り物
【編集余話】
先日、麻布台ヒルズ内の「森ビル デジタルアート ミュージアム」に行ってきました。館内は未来感のあるきらびやかな空間で、キラキラ光る映像とデジタルアートが随所に広がり、見る者を引き込む不思議な感覚をおぼえました。一方で、ちょっと疲れてしまったと言いますか、すこし酔った感じになったのも事実です。若い方や外国からの来場者も多く、空間の演出もあいまって、異世界感満載な展示でした。
当社では今年、自分たちの知らないこと、新しい経験を積極的にしていくことを目標の一つに掲げています。どうしても、自分の好きなことや日々の習慣の中だけで生活していると、視野が狭くなり、新しいことに触れること自体におっくうになってしまうと考えるからです。それでは出版やメディアの世界にいる人間としてマズいと思って意識しています。
自分にとって「異物感」のあるものと意識的に触れ合うことは、新しい気づきや発見、刺激を得ることにつながります。それが、また次への原動力に、あるいは自身の視野“拡張”につながると信じています。
(田中)