この連載ブログは、「あなたの人生、そしてあなたの会社の『ブランド』を、本にしませんか?」という提案のもと、あなたの中にある「遺産」(経験、知見、価値観、想い)を、あなただけの「一冊の本」として、未来へ遺すためのお手伝いをする全30回のシリーズです。「本」という形を通して、あなたの人生、そしてあなたの会社の「ブランド」を、より豊かに、そして後世に伝えていきましょう。今回は第2部、第6回目です。(過去記事:第1回 / 第2回 / 第3回 / 第4回 / 第5回 / 第6回 / 第7回 / 第8回 / 第9回 / 第10回 / 第11回 / 第12回)
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『あなたの人生を、最高傑作に。~人生を編集し、未来へ遺す30のヒント~』
第1部:あなたの中に眠る「遺産」を発見する(1〜5回)
第2部:自分史を編み、未来へ遺す(6〜15回)
第3部:ブランドストーリーを紡ぎ、未来へ繋ぐ(16〜25回)
第4部:「本」が繋ぐ、過去・現在・未来(26〜30回)
【 今回は第2部の13回目です 】
デジタルで出版する新しいかたちを考える
時間や空間の壁を超えた“新しい自分史”のかたち
前回は、自分史を「本」という形で残す意義や魅力をお伝えしました。一方で、デジタルの世界も日に日に進化を続け、私たちの「記録のしかた」を大きく変えつつあります。インターネットやクラウドを活用すれば、遠く離れた家族や友人と思い出を共有できるうえ、動画や音声といったマルチメディア表現も可能。まさに、時間や空間の壁を超えた“新しい自分史”のかたちが広がっています。

デジタル自分史がもたらすメリット
デジタルで自分史を記録する魅力はいくつもありますが、特に大きいのは「保存や共有が容易」「多彩な表現ができる」「柔軟に更新できる」の三つです。
たとえば、クラウドにデータを保存しておけば、紙のアルバムが破損する心配も、ハードディスクが突然故障してデータを失う恐れも少なくなります。また、離れて暮らす家族や友人にも、URLひとつ送るだけで最新の自分史を見てもらえるでしょう。さらに、文章・写真だけでなく、動画や音声データを組み合わせることで臨場感を高められるのもデジタルならではの恩恵です。新しいエピソードを追加したいときも、簡単な編集作業ですぐに最新版にアップデートできます。
さまざまなデジタル自分史の形式
スライドショー形式
プレゼンテーションソフトやオンラインツールを使い、写真と簡単なキャプションを順番に並べる方法です。家族の歴史やイベントの写真をまとめ、音楽を添えて“プチ上映会”を開けば、思い出を共有する場がいっそう盛り上がります。
動画形式
昔の写真や映像をつなぎ合わせ、そこにナレーションや音楽を加えて一本の動画に仕立てるスタイル。旅行の映像と一緒に「そのとき感じたこと」を字幕にしておくと、ドキュメンタリー番組のような仕上がりになります。特別な記念日に家族へプレゼントするのにも最適です。
ウェブサイト形式
個人ブログや専用サイトとして、自分史を公開していく方法もあります。時系列で記事を投稿したり、特定のテーマ(趣味、キャリア、ライフイベントなど)に絞って連載スタイルで更新することも可能です。必要に応じてパスワード保護を設定し、限られた人だけに読んでもらう工夫もできるのがWebの良いところでしょう。
デジタルアルバム
アプリやソフトを使い、オフラインでも閲覧できる「電子アルバム」を作成するのも手軽です。旅行写真や子どもたちの成長記録をまとめ、タブレットやスマホでサッと見せられるようにしておくと、ちょっとした家族団らんのときにも活躍します。
Kindleでの自費出版
AmazonのKDP(Kindle Direct Publishing)を利用すれば、電子書籍としてあなたの自分史を手軽に自費出版できます。
・世界中に向けて公開可能
公開範囲を絞ることも、あるいはグローバルに販売することも可能です。
・紙の本とのセット展開も
Kindle版でデジタル書籍として発信しつつ、オンデマンド印刷を選べば紙書籍としても出版が可能です。
・更新や修正が簡単
後から文章を変更したり、写真を差し替えたりする際も、再アップロードですぐに最新版の電子書籍に切り替わります。
デジタル化するときに気をつけたいポイント
どんなに便利なデジタルツールも、使い方を誤れば大切な情報を失ってしまうリスクが伴います。まずはバックアップ先を複数確保しておき、データが消失したり破損したりしないように備えましょう。とくにクラウドだけに保存していると、サービス終了やアカウントの紛失などでアクセスできなくなることもあるので、パソコンやUSBメモリ、外付けハードディスクにも定期的にコピーを取っておくと安心です。
また、ウェブサイトやSNSで公開する場合は、プライバシーにも十分配慮しましょう。自分史には家族の写真や個人情報が含まれることが多いため、閲覧範囲を限定するとか、メンバーを承認制にするとか、適切な対策を取ることが大切です。さらに、動画や音声を編集するときには、著作権に抵触しない曲や素材を選ぶように気をつけてください。
デジタルで可能性を拡げる自分史づくり
自分史をデジタル化すると、保存性や共有のしやすさだけでなく、動画や音声による豊かな表現が楽しめます。新しいエピソードを気軽に追加できるので、「人生が続く限り、自分史も進化し続ける」感覚が味わえるのも大きな魅力でしょう。大切なのは、あなた自身が「どんな形で思い出を残したいか」という気持ちを大事にすること。紙の本にするか、デジタルで展開するか、あるいはKindleで自費出版にチャレンジするか――いま、選択肢はかつてないほど広がっています。

次回は、「自分史を家族や友人と共有するためのアイデア」をテーマに、さらなるヒントをお届けします。
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▶︎ 次回の記事:【新連載/第14回】 執筆中
▶︎ 前回の記事:【新連載/第12回】 自分史を「本」という形にーー手にとって感じる喜びと未来への贈り物
▶︎ 前々回の記事:【新連載/第11回】 写真と資料で彩る、あなたの自分史――思い出を鮮やかに伝えるヒント
【編集余話】
ところで、自分が亡くなった後、スマホが開けないといろいろと困ったことになりそうです。家族写真や連絡先はもとより、サブスク契約やネットバンキング、キャッシュレス決済アプリなど、日常生活の根幹を支えるサービスが大量に紐づいています。
たとえば動画配信サービスや音楽ストリーミング、ネット通販の契約などの定額サービスが、契約者が亡くなっても延々と引き落とされ続ける恐れがあります。ネットバンキングや証券口座の情報がスマホアプリのみで管理されている場合、端末ロックやパスワードがわからないと、残高確認や相続手続きすら進められません。
こうした“デジタル資産”を家族や信頼できる人に引き継ぐためには、スマホのロックを解除できる状態を作っておくことが不可欠です。事前に次のような対策を検討しておくと、もしものときに慌てずに済むでしょう。
◎iPhone(iOS)の「デジタル遺産プログラム(Legacy Contact)」を設定
iOS 15.2以降のiPhoneでは、“信頼できる相手”を登録し、必要となるアクセスキーを事前に発行できます。Apple公式サポート で詳細を確認して、家族や親友などに相談してみるのも手です。
◎Android(Googleアカウント)の「アカウント無効化管理(Inactive Account Manager)」を活用
Googleアカウントの管理画面で、一定期間利用がない場合にデータを共有する相手を登録できます。Googleアカウントの無効化管理ヘルプ に手順が詳しく載っています。
◎パスワードやロック解除情報の整理
紙のメモやパスワード管理ツールを用いて、家族や信頼できる人が分かる形で保管しておきましょう。ネットバンキングやクレジットカード情報の一部を“生命保険や遺言”のリストに加えておくと、相続手続きの際に役立つ場合もあります。
便利な時代だからこそ、家族や大切な人が困らないための“もしも対策”は必須と言えます。自分史のデジタル化に限らず、日々の生活を支えるスマホやクラウドに溜まったデータは、一種の“デジタル資産”です。せっかくの便利なツールを最大限活用するためにも、万が一の備えは日ごろから進めておく必要がありそうです。
(田中)